不登校に係る夏季集中教員研修
ひとりひとりが輝く
私たちの関わりの再点検

平成18年7月31日午後3時〜5時
国立京都国際会館イベントホール

                                                  
河合隼雄氏の講演に学ぶ


7月31日、吹奏楽コンクールの差し迫った日に、研修へ出かけた。

この研修は、河合隼雄氏の講演とのことで、希望しての参加である。

会場近くまで車で行ったら、なんと駐車場へ入るのに行列ができており、なかなか中へは入ることが

出来なかった。

 河合氏の話を聞くのは、何度目かになるのだか、教諭を対象とした話を聞くのは初めてであった。

その内容をもう一度振り返り、ここにまとめたいと思う。


 河合氏は、大学卒業後、奈良の中高一貫校で、3年間数学教師をした。

一生懸命教師をするつもりだった。だが、教師があんまり必死で教えると、生徒が頑張らないようになってきた。

また、生徒にいろんな相談をされても、どう答えたらよいかわからい。

生徒に自分の価値観で答えるのは、あまりにも軽率と思い、それが臨床心理学を学ぶきっかけとなった。

今の不登校の原因は色々、親、家庭も色々である。そんな中で不登校の話をするのは難しい。  

現在日本の不登校は10万人を越える。

日本はよくなったと村上春樹氏は言う。

だが、同時に、一人がよくなっても、社会全体がよくならなければならないとも言う。

みんながこのように考えるようになってきた。

物が豊かになればなるほど、子供を育てることは難しい。貧しい方が、幸せなことがある。

「おまえには欲しい物はすべてやった。それなのになんで・・・」

というようなことがあるが、欲しい物を全部あたえるなんてことは、ありえないことである。

お金であげられないもので、何をあげられたか、それが大切な物である。

日本では、個室の使い方がわかっていない。

アメリカでは、子供は食後は居間、15才以下は、部屋のドアを締めてはならない。

子供は絶対にドアを閉めてはならないのである。母親は、ノックなしで部屋を開けられる。

日本の家族はバラバラだ。それは、物が豊かになりすぎたからである。

個人主義というものは大変なのである。努力と工夫を重ねないと、バラバラになってしまうのである。

「個性で勝負」という言葉があるが、河合氏が聞いた話である援助交際をしている生徒の母親が、

「うちの子は、美という個性で勝負しているんです。」

と言ったことがあるそうだ。また、カンニングや点数が悪いことも、

「これが個性です。」

という言葉で片づけることがある現状だ。こういう所から、不登校は始まる。

家庭、世間を大事にしていたら、不登校は起こらない。

昔は、「しんぼうしなさい」という言葉が通用した時代であった。

ドイツでは子供がイタズラすると、

「なぜイタズラをするの?」

と聞く。そうすると、子供はへりくつを語り始める。それに対して、

「それはどうして?」
と聞く。そう聞いていって、子供が自分を曲げた所で謝らせるという。

自分で自分を守ることを教えなければ、生きていけないのである。

アメリカでは、子供に入札からさせてペンキ塗りをさせるという。

それが、どんなにしんどくても手伝わない。

親子でも、個人の責任を厳しく教えるのである。個人の訓練である。

スイスでは不登校はいない。義務教育の義務を守っている。

学校へ行かないと警官がくるからだ。だが、不登校の変わりに、暴力などいろんな問題が起こり、

根本的な問題を忘れている。

夢がないのだ。今の子供は、夢がないから、考えられない。

江戸時代は、自分の家の仕事を継ぐしかなかった。

今は、何にでもなれるが、何になりたいかもわからない。

夢を持てば良いのだ。

この時代、人間の心と心が接触することが少なくなってきた。心の接触が少なくて、バラバラに

なってきている。

人間は、話をしていくうちに、本当が出てきて、本当と本当がぶつかりあえるようになる。

大切なことである。

高齢者が病院でなくなるのが、全体の80パーセントだ。近代的乳母捨て山である。

急にぼける理由として、

「おばあちゃん、心配しないで下さい。」

これは、おばあちゃんはもう結構ですよ、と心配事からはずされるからとのこともある。

心配で悩むのも人生なのである。

昔に比べ、今の子供は何をしていいかわからない。何になりたいかがわからない。

また、子供から勉強と受験を取ってしまうと、何をしたらいいかわからず、疎外されたように感じる。

その上、お金で解決出来ることが多くなってきた。

これをやりすぎると、人間バラバラになる。

人間、話をしていくうちに、本当が出てきて、本当と本当がぶつかり合えるようになるのである。

日本では、心のつながりに対する努力が少なすぎる。

物が豊かになった時、心と心のふれあいの努力が必要となる。

貧しい時は、考えなくてもよかったことだ。

人間は、自分が出来る以上の努力をすると、腹が立ってくる。

本当に一人になると、誰かが近づいてくると嬉しい反面怖い。

何か好きなことができると、元気になってくる。

時間がかかる人もいる。人間すぐには変われないのである。

一対一の人間関係で話を聞くのは、すごく大変なことである。

まっすぐに、受け止めなければならない。

カウンセラーとは勝負師なのである。

また、人間はみんな芸術家である。

子供が学校へ行かない時、子供は「僕の家、どうなっているの?僕の学校ってどうなっているの?」

というサインかもしれないと考えることも大切だ。

河合氏にカウンセリングを受けたある保護者がこういったという。

「あの子が学校へ行かなくなったおかげで、夫婦うまいこと行くようになりました。」

子供のことで、夫婦の会話が増え、良くなったというのだ。

教師は、人間関係を忘れることはできない。

そんな中、本音で語り合い、失敗を繰り返しながらも、心と心の接触のできる仲間作り、直接話をし

語り合う大切さをもう一度考えさせられた講演であった。

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